2008年02月29日(更新)……2008年01月25日(設置)
漫画という職がどんなものか?を(皆さんの質問に答える形で)ここで志賀伯の経験した分だけ書いてみようと思います。
プロの漫画家にまだなったわけではないですが、これでも沢山失敗してきたので、いろいろ知識はつきました。
ゆっくりのびのびやっていこうと思います
注:ここに書いてあるのはあくまで志賀伯の視点から見た漫画の世界であって
すべてそうだとは限りません。一人のおっさんの意見として参考にしておいて下さい


漫画編


基本的な作業手順は
1:キャラ、設定、話をつくる(プロット)
2:それを元に絵にしていく(ネーム)
3:ペンで仕上げていく(原稿にうつる)
です。
…ほんと基本的;


読切を作るうえで
主、脇役キャラクター(その話の中に入ってくる人物)は4人が限界です。
それ以上だすと話がまとまらないとおもいます。
志賀伯はその法則に反抗して7人以上出したことありますが…

少年漫画の読切ページはだいたい45p前後が好まれます。
60p70pいくと読まれない恐れがあるので、
鬼才っぷりあふれるお話でない限りやめといた方がいいです。

その気になれば8pでも漫画は出来ますよ。
自分は10pくらいが限界でしたが(告白ロボット参照


話作りについて(読切・短編)
まず
「何が描きたいか?」
これがはっきりわかっていないとグダグダ漫画になっちゃいます。
どんなに設定作りこんでも目的がないと漫画にたどり着かないです(少なくとも志賀伯はそうです)
自分はよく映画、ドラマや漫画に影響されて、「俺もこんなのやりたいなー」て動機が多いです。

コツとしてはまず自分の好きなものをよく思い出してみましょう。好きな漫画でも小説でも、趣味でも特技でもいいです。
そして「何でそれが好きなのか?」考えてみるんです。
それが言葉に出来るなら漫画にも出来ます。
言葉は相手に伝えるためのもの、漫画だって相手に伝えるものだと思ってます。
そんなもんです。だから誰だって漫画は作れると思います。


漫画のレベルアップ方法はやっぱり模写です
デッサンしてる人は上達度が半端ないですが
その経験がないまま高校卒業しちゃうとやる気がなかなか起きないんですよね
(自分は中学のころ少しかじってましたけど)

なので漫画を模写するのをお勧め
好きな漫画(「こういう漫画が描きたい!」に近い漫画)を1話丸々コピーするように描く
なんてのがいいんじゃないでしょうか。絵もコマ割もなんとなく理解します。

ちなみに自分は丸ペン(ペン慣れするために)である漫画を1話模写しました。
大体1ページに早くて4,5時間かかります。背景が多いと丸1日かかります。
(正直十数ページで挫折しましたが、それでもやる価値は十分にありました)
漫画経験のない人はいきなり10個の仕事をやるような行為なので苦しいと思います。
コレはどうやってやってるんだろう?という作法は考えながらやってみてもいいと思います。
(自分もそうやってました)

やっぱりデッサンをするのと同じくらい根性いりますが
まだ”漫画描いてる”実感がするので個人的にはいいと思います。
すごいレベルアップしますからね。
気をつけるのは自分の味を残しておくこと。(丸々活用しちゃうと著作権侵害ッス)
もしやるなら
練習の一環としてやってみてください。


背景の練習はやはり実物や写真を見て描くのが一番いいです。
家一つだけでも描くポイントがたくさんあるんですよね。だから無知で描くと家に見えないことがしばしば…
ネットが普及してる今は適当に検索してその背景を自分なりにアレンジして描いてみるのもいいかもしれません。
昔、友達が電車通学でよくB5のノートに適当に書きなぐっていたのを見て楽しそうでした。
(一部分を細かく模写。そんな絵をノートにつめつめに書くんです。)
いろんなものや背景を描いていると資料を見なくても大体頭に浮かんできます。
今でもちょくちょく写真などを撮ったり資料を見たりして描いてますが…



Gペン等のペンはなれないととっても扱いにくいですが、慣れてしまえば鉛筆のような滑らかな線や、
筆のような強弱のついたタッチができます。(これはいいすぎか?)
慣れるとこれほど便利なペンはないから殆どの人が使ってるんじゃないでしょうか?
今はパソコンでも漫画書ける時代ですから無理に学ぶ必要もないかもしんないですが…

1ページにペン先1本消費する人もいれば10pで1本の人もいます。
大暮維人先生もGペン使いだったと思います(消費量半端ないです。新品でもちょっと太く出ると捨てちゃうそうな)

ちなみに志賀伯は5pに1本消費してます。
太字用のGペン(使い込むと先が太くなっていく)と新品で細い線が描ける状態のGペン、そしてミリペン(3mmと5mm)
この4本で主に描いてます。


漫画を”初めて”の方は
まずノートに鉛筆でなんでもいいので漫画を描いてみてはどうでしょうか?
自分は中学のころ、よく100円ノートに4コマ描いてました。肉のついた棒人間で、
当時人間描いたことなかったんです。本格的にキャラを描き始めたのは高3年の部活引退してから


志賀伯が漫画を作るうえで大変参考になった本は
業田良家先生の空気人形
:たった数ページの作品なのに心に強く残る読後感。
話づくりの構成力。設定、読みやすさ(全てがわかり易いという訳ではないです)が
素晴らしい短編集漫画です。
漫画の作り方に困ったとき、何を描けばいいか迷ったときよく読み返します。

絵について影響を受けたのは沢山あります。とくに電気が走るくらい影響を受けたのは
三輪士郎さん
大暮維人さん
キムヒョンテさん


見開きは単純に2枚の原稿用紙をテープでくっつけて描いてます。
人によってくっつけ方はさまざまです。
原稿印刷の編集さんか誰かが補正してくれると思うので
自分なりの(丁寧な)くっつけ方で大丈夫だと思います。
っと思ってたのですが勘違いしていました。
原稿の見開きのやり方…あったんですよ。
知らなかったです;
↓コレですよ

ひょっとしたら出版社さんによってやり方が違うのかもしれません;
まぁ担当さんがいるのなら聞いてみてください
初めての人はこれを参考にしてみていいと思います…多分。



写植のルビは間違われることが多いので
原稿に台詞を書くとき、主人公の名前や名詞には常にひらがな(訳)をうったほうがいいです
志賀伯のヘヴンズドアーという読切漫画に神野(かみの)というキャラクターが出てきます。
実は”かんの”という呼び方だったんです。他にもちゃんとルビを打たなかったせいで誤字が…


ネームは1ヶ月以上煮詰まるならその話はやめておいた方がいいと思います。
面白いかどうかわからないまま作るとそんな漫画が出来ちゃいます。
G戦上ヘブンズドアーにもそんな台詞ありましたよね。本当そうだと思います。






持込・投稿編

よく学校で持込はお勧めされるけど、志賀伯はそれほどお勧めしないです。
・持込の良点は編集者の意見を直に聞ける。聞きたいことがあったら答えてくれる(プライバシー的なことは駄目だけどね)

・投稿の良点は(少なくとも)自分の漫画を気に入った人がついてくれるというところでしょうか。
(担当がつくとしたらという条件ですが)
正直どっちも
次第です。
いまいち漫画の世界がわからない人は持込がいいかも…


持込に行くなら一日に2、3社渡っていくのがいいかも、就職の面接と一緒ですね。
大体読んでもらって話して30分くらいです。ちょっと長引いて1時間。担当になっちゃったら下手をすると2、3時間。
なので交通時間を目安に計画して持込に行きましょー
(志賀伯は持込時、一時間おきに1社という計算をした結果、
交通時間、話す時間のロスで次の編集さんを待たせて怒らせたことがあります)


投稿で気をつける点は住所と賞の名前です。
送って賞を取れば結果発表の2,3週間前に返事が来ると思います。
結果発表の次の日に返事が来たこともありましたが…
そしてお金が入ってくるのはさらに1、2ヵ月後です…長い…。



コレは本当に志賀伯の勝手な基準ですが受賞の賞の具合はこんなものだと思ってます。
小規模の賞大会での評価
入選…100点。即戦力。踏んでない手順があれば踏ませて連載させる
準入選…50点。何かあったときのストック。あと一つか二つで即戦力
佳作…30点。今はちょっと駄目だけど、将来に期待
奨励賞…5点。う〜ん…、一応将来に期待
はっきり言って間違ってると思います。超個人的な目で見た感じです。
自分はこう考えてよく賞に出します。


ちょっと大きい賞に受賞すれば出版社から招待状がきて、パーティみたいなのやります。
憧れの先生にあえるかも!?





担当編

持込、投稿である程度評価をもらえれば担当がつきます。
会った時に最初に話す言葉は「どんな漫画が描きたいの?」と殆どの担当さんが答えるんじゃないでしょうか?
最初は大体が、賞を狙おう!ということになります。
そして大体はよく忘れ去られます(担当さんは仕事をこなしつつ、新人漫画家さんを10人20人くらい見ているので)
忘れられないように積極的になりましょう。待ってるだけでは一生返事が来ない…てのもあります。
次に増刊の読切に向けて→本誌の読切に向けて→連載へ(一番早い道のりで)
基本的にコレです。

連載への道のりは長いッス…。掲載経歴のない人が担当と出会い〜連載まで

早くても
3年くらいじゃないでしょうか?(いろんな編集さんから聞いた話による)
読切もアシスタントも経験して「こいつならやれるんじゃないか?」という信頼を得て
晴れて連載への道のりに本格的に動き出すと思います。新人の私が言うのもなんですが(~ ▽~;)
ちなみにアシスタントは漫画家の登竜門と思って下さい。



編集者は人間です。
漫画の編集者といっても入社して「実は○○誌いきたかった」とか
「ただ大手に入っておけば経済的に安定するから」(←まぁこんな人はすぐやめちゃいますけど)
「実は派遣でやとわれてます」なんてのもいます。
仕事中にニコニコ動画見てる奴だっています。
なので気の合うパートナーじゃないとこの世界とってもやりにくいです。
「これはこうじゃない?」「あれはああでしょ!?」
なんて作品に対して意見が言い合えるなら最高ですね。

ホント人によって見る評価が違います
だから持込で駄目駄目でも他の所に行けば全然違う評価だったりします。(自分がそうでした)
出版社の方針もありますがやっぱ好みって人間である以上誰だって違いますよー

よく持込などでいろんな出版社に持っていって担当が複数ついた場合、
(選べる立場になるわけなので)一番担当と気が合う人と一緒にやっていくことをお勧めします。
気が合うかどうかは話してみてわかるんじゃないでしょうか?
だって気の合わない人とやっていって良い漫画が出来るとは思いません。
ある王ドロボウの担当編集さんが言ってましたが
「担当と漫画家さんは共犯者」です。ホントその通りです。
生活のかかってる人ならお金になりそうな予感がする雑誌に…

ちなみに自分は載りたい雑誌より連載取れそうな雑誌に行きます。
もちろん担当と気が合うというのが前提ですが

掲載確率が高そうな編集長や副編集長が担当についたなら超ラッキーですね
基本的に編集長がGOサインを出すので(ただ長なだけあってすごく大変、いろんな意味で)

後、編集者は漫画家さんのやる気起こすためにちょっとした嘘(いい意味で?)はついたりしますが
漫画に対しては思ったことはっきり言います(それが仕事ですからね)


打ち合わせで担当の発言に押し負けるとグダグダになっていく可能性が高いので
描きたいポイントを最後まで折れないように打ち合わせしょう。
読切(特に連載)で好きな作品を描かせてもらえる場合は完全(100%)にはないです。
作品の2〜5割は融通が利かないと思います。
担当の性格(趣味?)や雑誌方針の影響で変更したりすることが多いです。
でもそれによって新たな自分を発見できたり、今まで悩んでたものが解消したりすることもあるので
悪いことばかりではないと思います。
なので担当との打ち合わせは
最初で最大の関門かもしんないです。





その他編

漫画って描いてて嫌になるときが多々ありますが
それは普通の仕事だって同じです。
自分は同じ苦しみならやりたいことやって苦しみたいと
思ったので漫画の道に行っちゃいました。皆に沢山迷惑かけてます。
その分やるだけやっちゃいますよー


漫画が雑誌に掲載されると気になるのは読者アンケート
よく雑誌にはさまってるはがきのことです。
作家さんたちの人生を左右する大事なものの一つです。
その集計によって雑誌の人気度を編集方がチェックするんだと思います。
人気が高ければ本誌掲載、連載や次のステップにつながる道ができます。
悪ければ作家さんの作品の方向性が変えられちゃう恐れや
自分の毛色に合う雑誌に行く人もいます。
志賀伯も気にします。意見を参考に絵柄もちょっと変えたりしました。



漫画は自営業です
漫画で結構お金もらうと確定申告しないといけないです。っていうかした方がいいです。
(確定申告というのは「自分は収入がありますよー」って国に告知するようなもんです。)

賞金や原稿料をもらうと税で10%引かれます(5万円くらい下なら引かれませんが)
ちょっと位の額なら気にしなくていいですが年で10万以上とられてるなら確定申告して返してもらいましょう
経費といって「漫画(仕事)を描く上でこれだけ必要なお金がかかったぜ?」という証明があればさらに返ってきます。
なので漫画のために使ったもののレシートは残しておいたほうがいいです。
わかりやすく説明してくれてるサイトがありますので気になる方、どぞ→

ちなみにまんがの原稿料や賞金は雑収入です。


漫画家は人気がないとなかなか儲からないです。
原稿料も、材料費で半分くらい使うこともあります。
大抵の新人漫画家さんは基本アシスタントをして稼いだりアルバイトして生活をやりくりしていると思います。
自分もその一人です。(手が早いのでいろんなとこで描かせて頂いてますが)


志賀伯のネームの描くペースは2・3日以内です。
原稿は一人45pで1ヶ月以内です。
どうでもいいことですが志賀伯は原稿の下をほぼページ数がわかるようにしてます。
だって読みたいページを探すとき、ページ数書いてないと探すの大変じゃないですか
「何ページだよ!?」って一人突っ込みしたことありません?
どうでもいいことかもしんないすけど



4社7誌(休刊したのも含む)担当9人くらい(現在ついているのも含む)経験した人物の著作です。











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